「国際会議論文の読み方・書き方」を読んだ話

http://www.phontron.com/slides/neubig15nlptutorial.pdf

グラムニュービック先生が書いたチュートリアルスライドである.

とても良い.

最近は論文を読むときに,このスライド通りに書かれているか自分の頭の中でチェックしている.たまにチェック項目を忘れるので,全部のページを印刷したくらい気に入っている.

グラム先生はNLP分野の方で「自然言語処理の基本と技術」という本も書いている.

ちなみに一か月前くらいにこの本を読んだが,ビタビアルゴリズムが漢字変換にどう使われているのか等,なるほどなぁと思う部分が多かった本である.

www.shoeisha.co.jp

 

「国際会議論文の読み方・書き方」は主にNLPの会議を例として説明が進む.

良い論文とは?,論文執筆のプロセス,論文の各章の役割と書き方,ダメ例,執筆後にやること,が書かれており「国際会議」に限った話ではなく,B4や修士など論文を書き始める人に役に立つはずだ.

特にこのスライドが良いと思った理由は,普段自分がわかりやすいなぁと感じる論文がこのスライド通りに書かれていることに気づいたからだ.

「問題の定式化」を明確に書いているか,いないかの違いはわかりやすさに大きな影響を与える.問題を定式化することで,読者は提案法がベストな解決手段なのか判断しやすくなるし,「こうゆう手法でも解けるのでは?」と読者に新しいアイディアを想起させやすくなると思う.

また,

完成された研究なんてない.書いてみよう!

この部分を読んで,問題点を見つけるための実験と,手法を評価するための実験は区別しなきゃなぁ,と自分は感じた.実験をすれば用いた手法の粗などすぐ見つかるし,ましてや修士レベルでは実験をする前から粗があるのが分かっている場合もあるだろう(もちろんダメ例であるが,実験をしない限り結果が出ないわけで修論が書けないのである)と思うのであった.

ちなみに参考文献にあるSimon先生の論文の書き方

www.microsoft.com

も読んだ(Youtubeに講義ビデオもある).

だいたいグラム先生と同じ主張をしているが,abstractの4文の内容が若干異なる.自分はSimon先生のほうがしっくりくるかなぁ.これも時間があったら感想を書こう.